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《連載》巌 写真放浪記2

僕は年間100-150程の展示を彷徨います。
その1つ1つが素晴らしいもので、多くの感銘と学ぶべきものを与えてくれます。今回はその中からこちらを取り上げたいと思います。

うつゆみこ写真展『ざくざく ばらばら んんんん…』
https://imaonline.jp/news/exhibition/20180824/#img1

アトリエと呼ばれるヴィンテージアパートの一室で行わた写真展。
アパートの外観からは展示会場となっていることなど想像もつかない。
秘密結社的な雰囲気さえ漂わす室内は6畳間、4畳半、台所、厠の伝統的ジャパニーズ間取。

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まず秘密結社で圧倒されるのは物量。
天井から床まで写真写真写真写真写真!!

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A4用紙にプリントされた作品が1mmの隙間なく帯 状に繋がれ、かつそれが天井から床に届く長さで吊り下げられ、更にそれが横にも1mmの隙間なく並べられているから、部屋の4面は全て膨大な写真で覆われているという具合。これが六畳間にも四畳半も同じテンションで並んでいるものだから、入室してから暫くは軽い眩暈に襲われる。
壁面にばかり気を取られていると、足元には亀やアルマジロやタヌキの剥製、人体模型が並んでいて現実に引き戻されそうな、そうでもないような眩暈を追加される。

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だんだんとよく分からなくなってきた頃に、本人から酒を振舞われ、ツマミを振る舞われ、更に幼い可愛い娘さん2人が遊んでくれるものだから、写真を見に来たのか酒を飲みに来たのか子供と遊びに来たのかいよいよ分から なくなってきた頃に、今度は書棚から素材となっている写真集や、押入れから人形や貝殻や動物の骨、冷凍庫からは鳥の亡骸などが繰り出され、本人から懇切丁寧かつ明晰な解説まで繰り出され幽玄夢幻螺旋階段ドグラマグラ。
来場者の多くが何時間も時間を忘れて居座ってしまうという驚異のホスピタリティ空間で、気がつけば僕は娘さんを膝に乗せて絵本を読んでいた・・。

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彼女の作品が持つ圧倒的な構成センス、ユーモア、エロス、知性、色彩感覚については多くの先達が言及しており、この数枚の写真だけでも幾許かは伝わるかもしれない。
今回の展示で僕が言及したいのは、生命力。
将来を嘱望された女性写真家(だけでなく社会全般で)が育児で活動を中断し、 そのまま消えていく姿は多く見てきた。圧倒的に女性へ家事負担の偏った日本では残念ながら普通に見られる光景。

しかし幼い子供を2人抱えていながら、彼女は決して活動を止めないでいる。
昼も夜もない育児と、制御不能な子供の行動の中で精密さの求められる撮影を続けていくのは果たしてどれだけの生命力か。
作家性の強靭さもさることながら、再び輝き始めることが決して不可能でないことを彼女は証明し続けている。同時代の女性写真家数名と肩を並べ、現代日本の写真史に名を留めていくであろう作家としての強さを僕は感じずにおれない。


Photos & writings by 矢野巌/ Editor 椿原桜果 (c) 2011 shimensoka 
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写真集団シメンソカ
Posted by 写真集団シメンソカ
投稿 2018年12月05日
最終更新 2018年12月05日

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