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《連載》巌 写真放浪記1

普段から沢山の展示会を巡っている写真集団シメンソカの矢野巌が、不定期ながら連載を始めます。
いろんな人の写真展を見て感じて語る、『巌 写真放浪記』今日からスタートです。

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僕は年間100-150程の展示を彷徨います。
その1つ1つが素晴らしいもので、多くの感銘と学ぶべきものを与えてくれます。
今回はその中からこちらを取り上げたいと思います。

平間至写真展『Still Movies』
http://hirama-shashinkan.jp/news/still-movies/

池尻にある平間写真館TOKYOと同ビル内の隣にあるのがCAFE SUNDAY。これだけの写真家であれば、普通はギャラリーを貸し切っての長期展示となるところ。お隣にあるカフェでそのまま展示というのが、店や人とに垣根のない人柄を感じさせられる。

店内は白壁の瀟洒な作りで、壁に平間氏の出世作である写真集『MOTOR DRIVE』を中心とした作品が並ぶ。『Still Movies』というタイトルは1993年の初個展時のもの。デビューアルバムのタイトルを改めて使うような感覚は、ミュージシャンでもある平間氏ならでは。ちょうど1995年にMOTOR DRIVEを刊行した当時のこれらはカッコ良く、荒々しく、今まさに時代を駆け上がっていくスピードに満ちた写真は、青春の記録そのものでもあるに違いない。

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カフェ奥のパーティルームではタワーレコード『NO MUSIC,NO LIFE?』の名作ポスターが全面に展示されている。主に近年撮影されたものが並び、1枚1枚に添えられたミュージシャンの言葉は読むのも楽しい。これらは若い頃と同じように躍動感がありつつも、明らかにテンポが異なる。写真がモノクロだからか、動きつつもブレなどのない商業ポスターだからか。そんな表面的な違いではなく、写真から聴こえてくる音が違う。

Still Moviesの頃は『叫び』を、NO MUSIC,NO LIFE?は『声』を捉えていると言えばいいのだろうか。1枚1枚のポスターが物語を持って実に雄弁に語り掛けてくる。写真家の内面を合わせ鏡のように被写体から引き出すとすれば、それは即ち平間氏自身の変化でもあるのだろう。

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ポスターの下には数百枚のCDアルバムが詰まれていた。安室奈美恵、SPEED、GLAY、ゆず、バンプ、エレカシ、テイトウワ・・、90年代を彩るミュージシャンから星野源、シシドカフカ・・など現在に続くジャケ写の数々。これだけ多くの被写体と向き合いながら求められる写真を撮り続けていくことは、どれだけ魂を削り続けることだろう。

そんな中、NO MUSIC,NO LIFE?から1枚だけ離れた場所に、平間氏自身の所属バンドである『CHEAP PURPLE』のポスターが貼られていた。中学の頃から付き合いのあるというオジサン達が最高の笑顔で笑っている。魂を削る日々で本当に大切にし続けている物が何なのか、この1枚だけで自ずと見えてくる。この後ろ側には決して華やかではない無数の日々の生活が見えてきて、僕はしばらくそこから離れることができなかった。

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前回のStill Moviesから25年。
音のない、静止しているはずの写真に、被写体の物語が映画のように残されていく。
それぞれ別個の写真がコマ送りのように繋がりを持ち始めては映画のように時代を紡いでいく。
写真が写真を超えて、Moviesとなっていくのだろう。

Photos & writings by 矢野巌/ Editor 椿原桜果 (c) 2011 shimensoka 
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