ヤブレカブレ展2を目前とした2015年11月、1月に開催したWeb座談会第二弾を行いました。今回のテーマはメンバーの個性、「らしさ」についての考察です。第三回目は松崎ヒロノブの「らしさ」についての考察です。原稿を起こした松崎ヒロノブが「自分探し」と言ってまとめてくれました。
(文中略/矢野巌→ 松崎ヒロノブ→ KaoRin→ 椿原桜果→

松崎ヒロノブ編

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松:それでは、始まりました座談会、第三回目は松崎ヒロノブの「らしさ」に迫ります。

松:上から、マネキン、マネキン、マネキン、です(笑)。この三枚は前回の展示、『ヤブレカブレ1』で展示した作品です。

矢:やっぱり、マネキンが一番撮りたい!って欲を掻き立てられるのかな。

松:マネキンのほかにもいろいろと撮影してるけど、発表しているのはマネキンが一番多いからそう見えるのかな。でも確かに、いま現在ではマネキンが一番かも。

桜:私が思うのは「おどろおどろしい」!

矢:俺は「黒い」。

K:どうしても松崎といえばマネキンという印象があるなー。マネキンの表情を読み取ろうとして作品を見てると深く楽しめるなーと思ったよ。そして、撮影者の意図まで考えるととても考えさせられるよね。

矢:俺は細かい部分より全体から見るクセがあるので、表情にはあまり目が行かなかった。黒いというのも、見た目ではなく全体から感じるイメージ。色の黒じゃなくてね。

K:私が思う松崎らしさは、ドロドロした裏。

松:ありがとうみんな。見事にダーティというか、ネガティブだなあ(笑)。

桜:だねぇ(笑)。松崎の写真のマネキンはおどろおどろしいんだけど、一方で写真というよりアート寄りだね、と思ってる。正直な感想をいうと、松崎の作品は写真として何がよくて何が悪いのかわからない部分はある。ただ、わからないんだけど、松崎しか撮れないし、このおどろおどろしく闇のような写真は素晴らしいとは思うのですよ。個性として。私にはひっくり返っても撮れない。

矢:黒い、についてのイメージをよりいうと、現実との距離感か。焦燥感もあるし、現実を直視しているのではないけれど意外とジックリ見ているというか。サングラス越しの世界というか。

桜:サングラス越しだってここまでダークに撮れない……と思う(笑)。

矢:そうだね。太陽のない世界というか……。

K:マネキンって、もっとキャピキャピして楽しそうなマネキンもあるよね? なんでこういうのを選ぶの? って思ってしまうよ。

松:まあ、マネキンって、普通は購買意欲を促すためのものであって、KaoRinのいうとおり、キャピキャピしているはずなんだけどね。って、ダークとか、太陽のない世界とか……オイ(笑)。

K:網戸越しかUV加工のガラス越しだな。

矢:カラー写真にモノクロ処理をして、カラー処理をして、モノクロ処理をした感じ。ちょっと遠回りしている黒さ。

桜:まどろっこしく、こねくりまわしている感じがある。その辺は松崎の好みが入ってる気がする。もともと文学とかやってた人で、ひとつのことをあーでもないこーでもないとこねくり回す、なんとなく哲学的な印象が写真にも出ちゃうって感じかな。もっとも、哲学とはオーバーな気もしますが。写真を始めた当初は割と撮る写真が近かったのに、今では見事に離れたなーという感想です。

松:そう、初めのころは桜果とは被ってたんだよね。いつの間にか距離ができたけど。モノクロをやるようになってから、ネガティブぽさが加速したかな、とは思ってる。でもそれはきっとモノクロの力を借りているところだろうから、モノクロでもカラーでも関係なくいろいろと表現できるようになりたい。

K:やっぱり、松崎=ネガティブ。ちょっとしっくりこない気もするけど、思い当たる言葉がないのでネガティブで!

桜:地球の真反対にいったくらいに距離ができましたね。マネキンの写真は心理的部分でネガティブな印象があるけど、ほかのモノクロはそこまでネガティブには感じないよ。

矢:ほかの被写体ではそれほど感じないというのは、マネキンは人の形をしているから違って見えるのかな。ということは、松崎が人を見る眼がそうなのだろうか。

松:一時期は、あえてネガティブを狙った面もあったんだけど、それだと結局うわべだけのもので、作った感があるのかなと気づかされて。今では意識せず撮影している……はず。

矢:それは一番初めのブックを作った時?

松:そうだね、あれが凄まじいターニングポイント。それまでは狙って、こんな感じにネガティブを演出! って感じだったんだけど、それを見抜かれて、芯に何にもないな、って自己分析して。

矢:なるほど。記号としてのネガティブさではなく、芯を作ろうと思ったんだね。

松:たとえば、一冊目のブックのときは思惑として不安さを芯にしていたつもりだったんだけど、それって本当に芯足りうるの? と。芯というものは別にあるべきで、その芯に対して不安な気持ちが生まれる……というのが正当なフローなんだろうなと。そう思ってから、撮り方を変えたよ。そりゃもちろん、撮影整理加工しているときにニヤリとすることはあるけどね。計画通り、みたいなニヤリだよ(笑)。あ、芯というと語弊を招くかな? 芯というより、テーマといったほうがわかりやすいかもしれない。

矢:いまはテーマが見つかっていない状況?

松:いや、複数隠し持ってるよ、まだ未発表だけどね。

桜:確かに複数あると思うけど、でもマネキンが一番個性が出てると思う。これからたくさんのテーマにめぐり合うと思うので、そのなかでどう消化されていくのかは期待してる。ところで、ちょっと戻って三枚のマネキン写真について話してみない?

矢:了解。被写体との距離はほとんど同じだけど、上、斜め、正面。今回三枚として選んだのがそれぞれ違うのは、意図してなのだろうか。俺は阿修羅像のような多面性を感じた。

桜:私は、一枚目→神々しい、二枚目→クリムトのような印象、三枚目→菩薩。実はおどろおどろしさの中にそんなことを感じてました。印象はおどろおどろしいんだけど、細かく見ていくとそうでもなかった。だけどまとめてみると印象はおどろおどろしい。表裏一体だね。それが松崎らしさだと思う。

K:私はね、一枚目→希望・喜び、二枚目→女の裏の顔、三枚目→無、という印象でした。

松:KaoRinのように感情面で見てくれるのはうれしい。何かしら、見れくれた人に心の動きを与えたい、ってのはあるからね。だから実は、マネキンの写真にはタイトルをつけてないんだ。見る人によって浮かぶ感情を大事にしてもらいたいというか。もちろんこちらの狙いもあるけど、見てくれた人の思いが大事なわけで。

矢:そこは大切にしたいよね、写真の余白。

K:タイトルによって感情操作されるときもあるしねー。

松:三枚目の印象だって、桜果は菩薩的なものを感じてくれて、KaoRinは無だという。これ、面白い。そうだ、桜果のいう表裏一体というのはどういうこと?

桜:闇があって光がある。かな。

松:おお! 闇と光の混濁、は考えていることだったのでうれしい。モノクロであることの黒白、内包されている闇光。なんて、格好付け過ぎてる気もするけど。てことで、そろそろ松崎の思う「らしさ」をば。コホン。

松:ぱっと見ネガティブだけどよく見ると多面性のある感情を動かす力のある鏡のような作品を作りたいと思いながらも日々に流され向き合い切れず及び腰いや逃げ腰となっているところもあってどこかでこんな自分をブレイクスルーしたいと思い悩むけれどヒントを得られずあるいは気づかず胸のうちで悶えているものが少しでも表れているのならいいなという思いが映し出されているだろうことがらしさ。……うーん、らしさって何だろう(笑)。

矢:このまだるっこしい表現。

K:悶々としますね。

桜:それが松崎らしさ。

矢:ああ、まだるっこい。

桜:まだるっこしいというか、こねくり回すまで考えてるってのが松崎のらしさ。

K:もがき苦しみながら向き合って作品を作ることが松崎のらしさ。

松:う、ううう、何かまとまったけど、青い! 青すぎて赤面する!(笑)それでは、松崎の「らしさ」考察、終了です。ありがとうございました!(といって逃げる)

全員:ありがとうございました!

次回はKaoRinの「らしさ」についての考察です。お楽しみに

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photo 松崎ヒロノブ / write 松崎ヒロノブ / blog editor 椿原桜果

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2015.11.24
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