ヤブレカブレ展2を目前とした2015年11月、1月に開催したWeb座談会第二弾を行いました。今回のテーマはメンバーの個性、「らしさ」についての考察です。第二回目は矢野巌の「らしさ」についての考察です。原稿を起こした松崎ヒロノブが「矢野巌は再認識」と言ってまとめてくれました。
(文中略/矢野巌→ 松崎ヒロノブ→ KaoRin→ 椿原桜果→

矢野巌編

20151113-01yano.jpg

20151113-02yano.jpg

20151113-03yano.jpg

松:それでは、始まりました座談会、第二回目は矢野巌の「らしさ」に迫ります。

矢:上から、おじさん、たぬき、絵馬で。よろしくお願いします。

松:1枚目は言わずと知れた、ある意味有名な(笑)名刺の写真だね。

矢:うん、名刺にしているし、ひとまず象徴的な1枚なので、今回も選んであります。

K:矢野の作品には文字だけのものが時々あるよね。

矢:文字だけのもの、あるね。個人のブログ内では看板というジャンルになってる。

K:クスッ、って笑えるのが矢野っぽい視線だよね。んん?って二度見させられたり。

松:文字などの看板系を見ても、ああ、これは記憶写真風ではあるけど記録写真なのかな、と思う。

矢:記録写真というのは確かに強く意識してる。こんな面白いものを残さなきゃバチが当たると、いつも思ってるよ。

桜:街中にあってシニカルに笑ってしまったり、ナニコレーと思わず口に出しちゃいそうな一瞬を切り取った写真、が、矢野の「らしさ」と私は思ってる。

矢:シニカルとか、ナニコレとか、やっばり桜果もそう思っていたのだね。

桜:思ってた。私と違って、それは日常の写真というカテゴリじゃないとも思ってました。

矢:そこは面白いところで、大きなくくりでは日常なのだろうけど、認識的には必ずしもそうではないのかも知れない。

桜:そして、風刺だったり、何かエッセンスが入ってないと矢野っぽくない気がする。

矢:その風刺やエッセンスが、時代の記憶と匂いになるのかも。

松:風刺? エッセンス? 違う、毒だ!(笑)

矢:毒かな……やっぱり毒なのかな。自分の過去の作品を見返すと、確かに毒があるんだよね。意地悪だな、俺って思う。

桜:写真だけ見ると「???」なんだけど、タイトル込みで成立するとかね。そのタイトルもひねってあったりとか。

K:え? これ撮ったことに気づかれてる? ヤバくない? って思うような写真が、いつもすごいと思う。いつか捕まるな……と心配になるくらい。でも撮るからにはそこは見習いたいところでもある? あー、みたいな共感できる部分もすごい。

桜:心の底から笑う写真じゃないよね。口の端の片側だけ5ミリ上にあがるような笑い。

松:でも展示になると、ブックに人が群がる(嫉妬)。

矢:タイトル込みでの成立は頭を悩ますけれど、ポートフォリオでタイトル無しのを見せても、人には伝わるようなんだよね。なのでタイトルが本体ではないと思う。

松:タイトルは導入というか、目線合わせ的なサブなんだろうね。

矢:いつか捕まるなとは常に不安なのだけど、そこは撮りたい欲が勝る。今、ここで撮らねば!と、勝手に体が動くんだよね。たぶん何かの強迫観念に近い。

K:初期衝動!

矢:あと、口角の端が上がるというのは、自分で撮っていても思う。たまに毛嫌いする人もいるのは、やっぱりそこなのかなと。ただ、基本的には善意を持って撮っているので、貶めたりする意識はないんだよね。

桜:確かに、不愉快な写真ではないよね。でも棘がある。あ、そうだ。以前思ったことなんだけど、「後ろ向きな笑い」って思ったことがあったんだ。

矢:後ろ向きな笑い!?

松:好き嫌いは分かれると思うよ。アンチがいるってことは、それだけの力があるってことだけれど。

矢:棘があるのはなぜなのか、といつも自問自答する。

K:見た人に好きとか嫌いとか思わせるくらいの力っていいね。

松:スゴイいい意味で言うけど、矢野ってイヤなヤツだもんね。

桜:一見、いい人そうなんだけどね。真正面から見てないというか、斜に構えているというか、斜め上から見てる感じ……世の中をね。

矢:そう、イヤなヤツなんだよね。

松:被写体が対人のときはともかく、対物は意味不明のものも多い。

K:あるね。理解されにくい作品。

矢:意味不明ですって!? 自分のなかでは明確にイメージがあるのだけど、伝わらないということなのだね。確かに突っ走っていることは多いと思う。真正面から見ていないというのも、よく言われる。非常にわかりやすい写真を心がけているし、わかりやすいと思うのだけど、そうではないことが今、ここで判明。

桜:矢野の写真は、数がまとまると面白みが増すと思う。対比とか、一枚だけだと意味がわからなくても集まるとプププ(笑)となるとか。なのでポートフォリオはタイトルがなくても面白いし、逆に一枚をアップするブログはタイトルで補ってたりするんじゃないかな。うん、本当に一枚だけ見せられて、意味がまったくわからなかったことも多かった……。

矢:数を集めて面白くなるというのは、まさにそうだと思う。物量作戦、人海戦術的な要素は多分にある。面白いなと思うのは、シメンソカ内だと、桜果に一番伝わりにくいところ。一見スナップなのにね。椿原桜果考察の時にも出た話だけど、桜果が矢野っぽい写真は却下するってのは、桜果の中で、まったく「らしさ」が違うって認識しているってことだから。

桜:あと、「らしさ」とはちょっと違うけど、矢野の凄いところは撮影枚数。シメンソカブログのレポート写真も主に撮ってもらっているけど、普段どこでもカメラを出せる状態だからこそ、瞬間に巡りあうんだと思うよ。

矢:そこは肝の部分。年間3~5万枚は撮るようにしてる。数がないと強度が出ないから。

松:分母が多いってのは、スゴイ強さだよね。シャッター枚数少ない俺からすると、ほんとスゴイ。

K:松崎はフィルムカメラ寄りなのかもね? 撮り方。

桜:あ、一度聞きたかったんだけど、撮ってる本人もその瞬間、笑っちゃうの? お、これ面白いーーーって。

矢:笑ってることは多いよね。面白い! と思ったから撮るのだし。心の動きと連動してる。カメラは目だもの。

K:にやっとしてることよくあるよね、撮りながら。

松:いやらしい(笑)。

矢:いやらしさ大事。

松:うん、大事。では、そろそろまとめに入りましょう。矢野本人的には、「らしさ」って?

矢:……らしさは、作品からみんなが感じるように、棘の部分だと思う。悪意であるつもりはないけど、素直でないというか、人を人として見ていないというか、目の前のことを目の前のこととして見ていないというか。醒めてるんだよね。面白いと思ったことも、温かみを感じたことも、憤りを感じたことも、全部どこかで醒めた目で撮ってる。

桜:そこは性格にも表れてるよね。でもいいと思うよ、醒めた目じゃないと撮れない写真もあるし、たいていの人はその目がないので、だからこそ個性、らしさになって現れてるんだろうね。

松:醒めてるけど笑いを取りにいくのもまたらしさ、か。

桜:そうね、後ろ向きの笑い。

矢:なるほど、それが後ろ向きの笑いか。

K:やっぱり、クスって笑えるのが矢野のらしさに出るんだね、冒頭とかぶるけど。

桜:次回展示『ヤブレカブレ2』でもその方向性?

矢:その後ろ向きな笑い的な作品を活かすかどうか、はたまた今までとは違う「らしさ」を見せるのか。今はまだ内緒にしておこうと思います。ただ、棘が滲み出てしまうかもしれないけれど……そこはまたクスっとしてもらえたらと思います。

K:楽しみだね!

松:それではこのへんで、矢野の「らしさ」考察、終了となります。ありがとうございました。

全員:ありがとうございました!

次回は松崎ヒロノブの「らしさ」についての考察です。お楽しみに
2015banner100.jpg

photo 矢野巌 / write 松崎ヒロノブ / blog editor 椿原桜果

にほんブログ村 写真ブログへ
にほんブログ村
2015.11.20
コメント記入欄