矢野巌からの投稿です。
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ひとつぼ展(現1-WALL)グランプリ、写真新世紀入賞などの経歴を持ち、写真集『はこぶねのそと』などでも知られる気鋭の写真家うつゆみこさん。彼女の作り出すグロテスクなのにユーモアに富んだ世界は真似できない。
(参考までに彼女の作品を↓)
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そんな彼女が自宅を使いWSを行うという。僕は矢も盾もたまらず申し込んだ。
もともと数名の少人数向けWSの第1回ということもあり、今回は僕1人の贅沢なWS。

朝10時から愛娘を背に笑顔で出迎えてくださった彼女の自宅は、夫婦と子供たちの気配に満ちた柔らかな空間。リビングのテーブルに用意してあったのは、
・今回の題材である人形(大きさ1-2cm)200体前後
・彩色用のパレット
・絵筆
・彩色用の溶剤

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人形はいわゆるジオラマに使われるタイプのもので、無彩色の物の中から好きな物を3つを選ぶ。それに対して自由に彩色を施すのだが、これが本当に難しい。米粒より少し大きい程度の人形を指先につまみ、絵筆の先でチョコチョコと色を塗る。色を塗ったら乾かし、重ね塗りで色に厚みを持たせ、最終的には顔の表情を出すために目や唇まで塗る。塗り方、姿勢など細かなコツを教えてくださるが、これはやってみなければ分からないことばかり。『目を入れることで魂が入るんですヨ!』とのアドバイスも 、実際に塗ってみて納得。

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彩色が不慣れな上に、ついつい話すのも楽しく、随分と時間が掛かってしまった。その間にもお茶や昼食を出してくださったり。ラジオからの音と子供の声が響く優しい時間は、WSというより親戚の家に遊びに来たような錯覚を覚えてしまう。手作りの美味しい昼食を食べて気がつけば残り時間1時間半。

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予めどんな作品を作りたいというイメージを膨らませ、本棚にある多くの写真集や資料集の中から、イメージに合う物を選択。僕が選んだのは和を感じさせる本。本を開いてライティングしながら先ほどの人形を配置し、世界を作り上げていく。

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本を撮り終わったら、次は食材。引き出しのたくさんのキッチュな皿から1枚 を選び、クラッカーと人形を上手いこと盛付けて、これまたライティングをしながら撮影。

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それが終わると、今度は壁一面の引き出しの中から、布やら化石やら昆虫やらカブトガニやらヒトデやらが現れた!分かっちゃいても実際に目にすると動揺する。穏やかな民家の、穏やかな昼下がりに突然現れる非日常。この飛距離がまさにはこぶねのそと。

ある意味でここからが本番なのかも知れない。僕は勧められる中からヒトデを手に取り、撮影を開始した。すると今度は、ニコニコしながらラメの布を差し出してくださる。『これがマクロだといい感じになるんです』と。まさかと思いつつ、マクロで撮ってみるとアラ不思議。銀色に輝く水平線が目の前に現れて、平凡 な老夫婦の人形はあっという間に波間を漂い始めた。

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これがイメージの世界というものか。
僅か2cmに満たない人形を中心として、水平線の彼方まで見えてくる。
ファインダーという狭い視界の中に、無限の世界が広がっていく。
普段はスナップでその場の状況に任せて撮っている僕にとって、全てが新鮮な世界だった。

これだけの濃いWSながら、受講料は5000円。価格は2-3人の人数や内容によっても上下するそうだが、破格と言える。WSの内容は他にも、市場で魚介類を仕入れての撮影や、布を買ってのセルフなどなど。想像力に彩られた、たくさんのコースがある模様。

彼女の作品が好きな方にも、昆虫嫌いを克服したい方にも、単に興味があるだけの方にもオススメ。

WSの情報はこちらから『うつゆみこの日々のこまごま2




photo 矢野巌 / write 矢野巌 / blog editor 椿原桜果

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2015.04.06
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